神宮外苑地区まちづくり

About the greenery of the Jingu Gaien district

神宮外苑地区のみどりについて

1.神宮外苑地区のみどりの考え方

神宮外苑の風致の継承と次世代へつなぐ新たな風致の創出

4列のいちょう並木を保全するとともに、緑豊かな風格ある景観を創出し、次の100年に向けた多様な緑化を計画します。また、今後も設計の工夫等により更なる樹木の保全に努め、新たな広場も整備し、新たな風致の核としてのみどりを形成します。

≪いちょう並木の保全≫

  • いちょう並木から聖徳記念絵画館を望むビスタ景を後世に継承するため、4列のいちょう並木を保全します。

≪新たな広場の整備≫

  • 聖徳記念絵画館前広場には新植を列植し、聖徳記念絵画館を前景とした象徴的な2.5haの絵画館前広場を整備します。
  • 野球場とラグビー場の間には、豊かな緑陰空間で人々が憩える1.5haの中央広場を整備します。

≪新たな風致の核の創造≫

  • 4つのみどり(いちょう並木、御観兵榎周辺、絵画館前広場、中央広場)の結節点となる(仮称)つなぎスポットと、中央広場の周辺に、御観兵榎周辺と対をなす新たな風致の核としてのみどりを形成します。

みどりを継承するゾーン・創造するゾーン

①いちょう並木 ②絵画館円周道路沿道 ③ラグビー場北側 ④つなぎスポット

これまでのみどりを継承・再生するゾーン

神宮外苑の創建の趣旨を踏まえて、4列のいちょう並木の保全や、絵画館前の西洋庭園の再生などの神宮外苑の歴史ある風致を承継

⑤中央広場 ⑥絵画館前広場 ⑦青山通り

これからのみどりを創造するゾーン

つなぎスポット・中央広場の周辺に新たなみどりを形成し、南北のいちょう並木だけでなく東西にも延びていく緑のネットワークを創造

新たな風致の創造

創建時から風致を継承し、次世代へと繋ぐ新たな風致を創造する
  • いちょう並木から聖徳記念絵画館を望むビスタ景を後世に継承するため、いちょう並木の保全と合わせ、絵画館前広場には新植を列植し、象徴的な広場を整備します。
  • 御観兵榎周辺の豊かなみどりと対をなす、新たな風致の核としてのみどりを、つなぎスポット・中央広場周辺に形成します。

地区内のみどりのネットワーク

計画エリア外の絵画館周辺の緑地や、神宮外苑広場(御観兵榎周辺)との連続性により、みどりのネットワークを創造し、生物多様性や生態系を保全します。

樹木の取り扱いについて

  • 神宮外苑創建の成り立ちを踏まえ、計画地における先人の想いや歴史に想いをはせながら1本1本の樹木を大切に扱い、設計の工夫等により樹木の更なる保全に努めます。また、生物多様性や生態系の保全に配慮しながら、質の高い新たな緑も創出し従来よりも緑の割合を増加させます。
  • 新たな植栽にあたっては、カシ、ケヤキ、サクラ、アオダモやモミジ類などに加え、神宮外苑の特徴ある樹種でもあるヒトツバタゴなどの樹種も取り入れる計画とし計画地周辺に残存する緑地の構成種を中心に837本を新植します。
  • 動植物の生息・生育環境にも配慮しながら、より多くの人々に開かれた良質な公園的空間の実現を目指します。
  • 歴史性やエリアごとの特徴をふまえて、樹木の保存・移植・伐採を慎重に検討し、今後も設計の工夫等により樹木の更なる保全に努めていきます。
  • 4列のいちょう並木については、全てを保存する計画としています。その並木沿いに施設を整備する際には、いちょうの生育に影響が及ばないよう、根系調査の段階から、設計者、樹木医、事業者が一体となり、根系の状態に応じた基礎構造、施工構法等を精査します。
  • やむを得ず伐採した樹木については、ベンチや記念品等の製作、木質歩道や堆肥・ウッドチップ等として活用するなど、環境に配慮しつつ適切な利活用を積極的に検討します。

市民の参画について

  • 次の100年に向けて神宮外苑のみどりがより親しみやすいものになるよう、新たにみどりを創造するゾーンも設けます。また、新しいみどりに次の100年に向けた外苑への市民の皆様の思いを反映できるよう、市民参加による植樹イベントや献木による植樹の企画などを通じて、みどりを次世代につなぐ活動をご支援いただく取り組みを今後検討してまいります。

これからの100年のみどりをみんなでつくる

2.みどりとオープンスペースの整備について

  • 現在、地区内には塀やフェンスなどにより立ち入れないエリアが多く、公園としては閉鎖的であり歩行者が自由に移動・散策できる空間が不足しているという課題があります。東西・南北へ渡る歩行者ネットワークを拡充することにより、地区全体の回遊性の向上を図ります。
  • みどりとオープンスペースの整備にあたりましては、スポーツ施設の周辺には広場状のオープンスペースを配置し人溜まり空間の確保に配慮するほか、野球場とラグビー場の間には、多目的に利用でき、広域避難場所としての防災性向上にも寄与する約1.5haの中央広場を整備する計画です。さらに聖徳記念絵画館前には創建時の芝生の姿を基調とした約2.5haの憩いの広場を整備いたします。
  • 2つの広場をつなぐ結節点となるつなぎスポットには、誰もが利用できる憩い・交流・スポーツサポートの機能を持った施設を配置し、地区内のアクティビティを促進するとともに、この場所の自然に根差した人と人のつながりを創出します。
  • 地区の魅力や活力の増進に資する多種多様な機能の導入を図り、誰もが利用できる空を感じ緑に潤う憩いの場、及び、広域避難場所としての位置づけを踏まえた避難のための防災拠点ともなり得る新たな緑地・広場を、多くの人々に開かれた庭として創出し、エリア全体のオープンスペースの割合は現在より増加する計画です。
  • 樹林地などの緑豊かな自然環境の保全・利活用など、エリアごとの特性をふまえつつ、新たな100年に向けた多様な緑化を計画します。つなぎスポットや中央広場エリアにおいては保存・移植・新植による新たな風致の核を形成し、その周辺のエリアにおいても同様に緑地の整備を行い、青山通り沿道エリアにおいては新植を中心とした緑地の再配置を計画します。
  • 837本の新植を行うことにより、質の高い緑を創出し、エリア全体の緑の割合(面積比)は現在より増加する計画です。

○緑の割合(面積比)

現況約25% → 開発後計画約30%
  • 航空写真をもとに、樹木の投影面積/地区整備区城内の宅地面積の合計によって算出しており、投影面積は宅地内の部分のみ算定に加えております。
  • 割合の算定上は、道路部分を除いております。

○オープンスペースの割合(面積比)

現況約6% → 開発後計画約40%
  • オープンスペースとは、計画地における広く一般に公開されている公開空地等の広場、緑地、歩行者通路及びこれと一体的な空間を形成しているもの等を指します。
  • 緑地等については管理上、人の出入りを制限している部分を含みます

3.いちょう並木の根の保全について

4列のいちょう並木については、
全てを保存する計画となっております

その並木沿いに施設を整備する際には、いちょうの生育に影響が及ばないよう、根系調査の段階から、設計者・樹木医・事業者が一体となり、根系の状態に応じた基礎構造、施工構法等を精査します。また、イチョウ並木の西側1列については、野球場棟の新築工事着工前に根系調査を行い、調査の結果を踏まえ、設計・施工両面から精査し、いちょう並木を保全します。

4列のいちょう並木付近(野球場棟)の施工スケジュール

4列いちょう並木付近(野球場棟)の施工スケジュール

調査段階の工夫

■調査方法

  • 計画建築物の地下躯体は縁石より8mの位置から構築する計画ですが、工事ヤード等施工計画へ反映するためにも、調査断面は約6.5m付近で実施します。(現在のいちょう並木周辺の状況は写真のとおりです)

■調査結果と対応

  • 根系調査の結果、いちょうの健全な生育へ影響を与えるような根が複数確認される場合には、樹木医の見解を踏まえ、根を避ける等の施設計画の工夫等を行い、いちょうを保全します。
いちょう並木周辺の状況
調査イメージ(根の調査メッシュ)

設計段階の工夫

■設計対応検討

  • 並木に面した基礎梁に関しては、扁平化するなどの工夫により掘削範囲を限定し施設による根系への影響を低減します。
  • 基礎梁のプレキャスト化や既成杭の採用を検討し、工事現場での作業工程を減らし、根系への影響を低減します。
  • いちょうの根の周りの「根を守るゾーン」の舗装は、「浮き床方式」等を採用し根系領域を最大限確保し、根の育成に配慮します。
いちょう並木側の基礎梁扁平化等検討

施工段階の工夫

■施工対応検討

  • 施工に際しては、樹木医等の立ち合い・指導のもと、適切な施工対応を行います。
  • 施工範囲周辺に透水防根シート等を配置します。
  • 埋戻し箇所の土壌は、根系の発育を促進させるため、バーク堆肥等を含む改良土を埋め戻すことを検討します。
  • 埋戻し完了後は十分に水極めを行います。
  • 調査によって根が把握された範囲を明示しその上に重機等を置かないように配慮することで、根への負担を軽減します。
(施工イメージ)いちょうの根系周囲の施工は、樹木医等立会いの下、手作業等丁寧な対応を行います

4.樹木の取り扱いと追加の詳細調査の結果について

樹木の保存・移植に努めるとともに、
837本の新植によりエリア全体の樹木の本数を増やします

開発前の樹木分布 保存樹木848本 移植樹木138本 伐採樹木743本 移植検討樹木19本 追加保存樹木(移植→保存)7本 追加保存樹木(伐採→保存)31本 追加移植樹木118本 ※絵画館前で詳細調査前 移植樹木7本を保存樹木へ変更。移植樹木本数の増としては+111本 当地区内における既存の合計樹木本数1904本 → 開発後の樹木分布 保存樹木886本 移植樹木138本 新植樹木(うち、移植検討樹木を含む場合あり)837本 追加移植樹木118本 当地区内における合計樹木本数1998本
  • ※1下記の追加の詳細調査の結果を反映した樹木分布です。
  • ※2移植先位置は詳細検討中。
  • ※3本サイトでは聖徳記念絵画館前の整備を含む神宮外苑地区について掲載しております。
    なお東京都環境影響評価条例の手続きにおいては、聖徳記念絵画館前の整備は対象外です。

エリア全体の樹木は開発後に94本増加する計画です

樹木の追加の詳細調査ならびに一部植栽計画変更の結果、
伐採を回避し、保存または移植とする樹木を増やすことにいたしました

樹木調査の概要

2019年の毎木調査・活力度調査において、施設の整備計画に支障する樹木のうち、移植が難しいもの、健全な生育が見込めないものを伐採対象樹木(892本)としていました。

2019年に伐採対象とした892本のうち、活力度が低いなど移植が困難であるものを除いた以下の436本を追加の詳細調査の対象とし、現地において樹木医による診断を行いました。

  • 樹高や目通りが大きいもの
  • 根鉢の適切な確保が難しいと樹木医が判断したもの

追加の詳細調査の結果、樹木の生育状況や現地の状況などをきめ細かく把握したうえで樹木医が総合的に判断し、149本を伐採対象から除外し、「保存」または「移植」することにいたしました。

追加の詳細調査の結果

追加の詳細調査ならびに一部植栽計画変更の結果、149本の伐採を回避し、保全または移植するものといたします。

今後、設計及び施工計画の詳細を決定していく中で樹木医の判断も仰ぎながら樹木の伐採を極力回避し、保存・移植樹木の追加を検討しております。

また、施設計画の変更等により、神宮外苑地区の特徴的な樹木の保全など、更なる樹木の保全を検討してまいります。

東京都環境影響評価の対象範囲とエリア全体の範囲については、下図をご参照ください。

地区内のゾーン分け

枯損木とは、15年の事業期間の中で開発によらずに安全管理・維持のために伐採されることが見込まれる樹木です。311本は、保存・移植樹木のうち、2019年に実施した樹木調査において樹勢不良とされた活力度C及びDの樹木すべてと、樹勢良好な活力度A及びBの約3割に相当します。

(参考)
当地区の樹木については樹齢の経過とともに、樹勢が弱まっている樹木も少なくなく、来訪者の安全確保のために、日常的に倒木や枝折れ対策などが実施されています。なお、道路通行車両・歩行者への安全管理上の理由で伐採された枯損木は過去15年間で約300本となっています。

環境影響評価の対象範囲
(赤枠囲い)

聖徳記念絵画館前を含むエリア全体
(赤枠囲い)

(参考:審議会資料)
東京都環境影響評価条例に基づく東京都環境影響評価審議会の資料は、
東京都環境局のHP「手続きの進捗状況(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」もあわせてご参照ください

(参考:樹木調査データ)
2019年の毎木調査・活力度調査及び、2022年の追加の詳細調査の結果については以下の資料をご参照ください(2022年10月28日更新)

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